コロナ感染爆発の中国、コロナ陽性者にも出勤を促す

 


 新型コロナウイルスの爆発的な感染が続く中国で、「コロナ陽性者も、軽症や無症状なら勤務できる」との通知を出す地方政府が相次いでいる。事実上、出勤を促す動きだ。人手不足が深刻になり、「経済を回す」ことが優先され始めた。感染封じ込めのため1人の陽性者も見逃すまいとしていた社会から、職場での感染を防ぐことすら「二の次」となる状況へと様変わりしている。

 

「感染後は7日間の自宅隔離が必要。病状が明らかに好転するか明らかな症状がなくなれば、PCR検査をせずに職場復帰できる」  「無症状か軽症の場合、体調や職場の必要に応じて、出勤して仕事ができる」  上海市は24日、人手不足を背景にこんな通知を出した。25日から来年1月27日まで、宅配やデリバリーの配送員らには補助を出し、年末年始と春節(旧正月)の休暇中は金額を上乗せするという。出稼ぎ労働者に帰省せず上海で年越ししてもらえるよう、映画や観光地のチケットを無料で配ることも奨励している。  中国政府が厳しすぎるゼロコロナ政策の大幅緩和を打ち出したのが12月7日。その後、感染が瞬く間に広がる中で、重慶市が18日に「無症状と軽症の人は通常通り出勤できる」との通知を出した。同じ日には浙江省も同様の方針を示した。

 

 中国では、12月に入ってから20日までに、2億5000万人が新型コロナウイルスに感染した――と、海外メディアのブルームバーグやフィナンシャル・タイムズが報じている。  これは中国の人口14億人の約18%にあたる数字で、世界的に見ても最大級の感染規模となる。情報源は、中国・国家衛生健康委員会から流出した内部資料とされる。  同委員会は25日から日次の感染者数の公表を停止しているが、下部組織が25日に発表した前日の感染者は2940人で、死者は0人。前述した報道の数字とは大きな乖離がある。  衛生当局とは別に感染者数を公表している地域もあり、人口6540万人の浙江省では新規感染者が毎日100万人近くになり、元日の頃には200万人になる見通しだと発表している。  大規模な抗議デモなどが起き、ゼロコロナ政策を放棄した中国だが、感染の急拡大が続いているのは間違いなさそうだ。こうなると、隣国である日本にも影響がないとは言えない。

 

 日本は水際対策を緩和しており、訪れる外国人が増加している。2022年11月の訪日外国人は93万4500人で、10月の49万8600人から倍増に近い。コロナ禍前の2019年11月(244万1274人)の4割近くまで回復している。  2023年の春節は1月22日。それにともなう中国の連休は1月21~27日となっている。中国からの訪日客は、まだ規制があるせいで2万1000人と少ないが、規制が緩和されれば急増することは間違いない。  在中国米国大使館は、12月15日からビザ発給を停止している。コロナ拡大による人員不足を理由としているが、変異株を警戒しているとの見方もある。

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